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『医心方』事始 〔日本最古の医学全書〕

   
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『医心方』事始 〔日本最古の医学全書〕

国宝『医心方』の全貌を俯瞰! 現代人必携の書!
984年に丹波康頼が朝廷に献上した『医心方』とは!?

宮廷医・丹波康頼(912-995)が984年に朝廷に献上した『医心方』は、現存する我が国最古の医学全書。
有史以来九世紀までの漢訳された医書を集めて撰集・編纂し、人間の心と体に関するあらゆる知識を結集させたものです。

先般は、鹿児島市在住の鍼灸師であられます福元先生(東洋医学研究所)から『医心方』事始〔古典医学研究家の槇佐知子先生の著書〕 という書籍。ご恵贈賜りました。恐縮しております。

ずっしりと、400ページの分厚い書籍(藤原書店)でしたが、その内容が実に解りやすい解説書であり、かつ興味ある分野のこともあり、3日3晩で一気に通読しました。その感動と興奮が冷めやらず、今宵より2回目の乱読に入ります。お礼かたがた、ここに一部ではありますが、小生の拙い感想と書籍のご紹介をさせて頂きます。

国宝である『医心方』は、「世界の記憶」に既に登録されている中国最古の漢方の聖典『黄帝内経』、朝鮮王朝時代の名医・許浚による『東医宝鑑』にならぶ、日本最古の医学全書と言われています。

現代医学を超える理論や処方があり、民俗学や考古学や宗教史や古典文学などに新たな視座を提供するものであり、動植物学や鉱物学にとっても、資料の宝庫とも言えましょう。

驚くべきは『医心方』の治療の対象は内科、外科、産科、婦人科、小児科、皮膚科、泌尿器科、性病科、寄生虫科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科、鍼灸、指圧、養生、飲食、未病対策、救急医療などのほか、
性愛術、あらゆる願望の対処法、占相、呪術、火遁水遁の術も、医療の一分野に位置づけらていたという点も驚きですね。

丹波康頼の生きた時代は陰陽師・安倍晴明が暗躍した時代であり、晩年は藤原定子、清少納言、紫式部とも重なる歳月があるようです。

『医心方』は、人間のあらゆる願望に応える、厖大な『いのちの智恵』に満ちた書とも言えます。
この書の存在そのものも凄いことであるが、著者が40年間の半生と情熱をかけて全訳するという、とてつもない作業には驚くばかりです。

その出典は、医書、仙書、本草書、養生書、鍼灸、陰陽道、道教、儒教、仏教、易経、天文、占相、史書、哲学、文学、婆羅門の秘方等々、二百数十文献に及ぶものです。特筆されることは、漢訳されているので一見中国だけの文献からの引用に見えるが、実は伝道僧や求道僧が中国語訳したインドの文献も多いということです。

私が特に興味を覚えた薬剤の原料は、朝鮮半島、日本、中国はもとより、インド、スマトラ島、オーストラリア間近の熱帯の島々も含むアジア全域、及びユーラシア、アフリカの動植物・鉱物などが該当します。

 

1 医学概論篇 ――巻一A(巻一第一章~第九章)
2 薬名考 ――巻一B(巻一第十章諸薬和名)
3 鍼灸篇 I 孔穴主治 ――巻二A
4 鍼灸篇 II 施 療 ――巻二B
5 風病篇 ――巻三
6 美容篇 養毛・美肌 ――巻四
7 耳鼻咽喉眼歯篇 ――巻五
8 五臓六腑気脈骨皮篇 ――巻六
9 性病・諸痔・寄生虫篇 ――巻七
10 脚病篇 ――巻八
11 咳嗽篇 ――巻九
12 積聚・疝瘕・水腫篇 ――巻十
13 痢病篇 ――巻十一
14 泌尿器科篇 ――巻十二
15 虚労篇 ――巻十三
16 蘇生・傷寒篇 ――巻十四
17 癰疽篇 悪性腫瘍・壊疽 ――巻十五
18 腫瘤篇 ――巻十六
19 皮膚病篇 ――巻十七
20 外傷篇 ――巻十八
21 服石篇 I ――巻十九
22 服石篇 II 薬害治療 ――巻二十
23 婦人諸病篇 ――巻二十一
24 胎教出産篇 ――巻二十二
25 産科治療・儀礼篇 ――巻二十三
26 占相篇 ――巻二十四
27 小児篇 I ――巻二十五A
28 小児篇 II ――巻二十五B
29 仙道篇 ――巻二十六
30 養生篇 ――巻二十七
31 房内篇 ――巻二十八
32 中毒篇 救急医療 ――巻二十九
33 食養篇 ――巻三十

『医心方』事始 〔日本最古の医学全書〕

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著者について
槇佐知子(まき・さちこ)先生の略歴・概要

1933年静岡県生まれ。古典医学研究家、作家。日本医史学会、医道顕彰会会員。

瀧井孝作の推薦で、総合文化誌『心』(武者小路実篤主宰、平凡社)に作品を発表。1974年1月『医心方』(984年成立)に出会い、部首字書を手製し、独学で解読・初訳に取り組む。
その中で79年、神社と豪族の所伝集『大同類聚方』(808年成立)に出会い、以後両方を交互に訳す。
先に『大同類聚方 全訳精解』百巻(〔上〕用薬部・〔下〕処方部、平凡社)が85年に刊行され、86年菊池寛賞、翌年エイボン功績賞を受賞。
難航した『医心方』全訳精解の出版は93年に筑摩書房より開始され、2012年に完結、全30巻33冊の初訳刊行を達成した。
40年をかけた前人未踏の偉業で、関科学技術振興記念財団のパピルス賞を受賞。