病院における骨粗しょう症の治療及び食事の指導

   

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【病院における骨粗しょう症の治療及び食事の指導】

骨粗鬆症は、骨密度の低下と骨質の劣化により骨強度が低下し、骨折リスクが高くなる疾患です。 骨質を規定する因子として、微細構造、コラーゲン性状などが挙げられます。

骨折リスク因子として、骨密度、加齢、脆弱性骨折歴、喫煙、過度のアルコール摂取などが挙げられます。 本症は原発性と、ステロイド性など原因の明らかな続発性に大別されます。

(目標)

●骨折の防止を目的とし、骨折リスク評価を含めた早期診断が優先されます。

●続発性骨粗鬆症をきたす疾患の除外および脆弱性骨折歴の確認。

●患者の年齢、骨折リスク、病態に応じ、骨折防止効果を目的とした薬物療法

●原則、長期投薬となるため、使用薬剤の副作用出現にも配慮します。

(診断)

骨質の正確な評価は現状では難しく、臨床的骨折リスク因子の評価や骨代謝マーカー測定により、骨強度の低下を推定する。

骨代謝マーカーについて
骨粗しょう症を診断する検査には、骨密度測定やレントゲン検査がありますが、尿や血液を検査することで、骨の現在から将来の健康状態を調べることができます。
これらの検査を「骨代謝マーカー」と言います。
骨代謝マーカーには、骨を壊す破骨細胞の働きを調べる「骨吸収マーカー」と、新しく骨を作る骨芽細胞の働きを調べる「骨形成マーカー」があります。

①薬物療法が必要かどうかを決めるとき
検査で、骨吸収マーカーが正常な人の値よりも高い場合には、破骨細胞が古い骨を壊すペースが速く、骨の量がどんどん減って骨がもろくなり、
骨折する危険性が高くなります。このような場合は、薬物療法が必要となります。
②使用薬剤を決定する時
正常な人の値に比べて、骨吸収マーカーが高い場合は骨を壊すペースが速く、骨形成マーカーが低い場合は骨を作るペースが遅いことがわかります。
どちらも低い場合には、骨の新陳代謝機能が衰えていると言えます。
つまり、骨を壊すペースが速い場合は、それを抑制する薬剤を、骨を作るペースが遅い場合は、それを助ける薬剤が有効となります。
③使用薬剤の効果確認をする時
骨代謝マーカーは、薬物療法の開始時と、開始から6ヶ月以内、また使用薬剤の変更時6ヶ月以内に1回、健康保険で測定することができます。
薬物療法を開始してから、これらの検査をもう一度実施することで、使用薬剤の効果を確認することができます。
薬剤の効果が十分に確認できなかった場合は、使用薬剤を変更するなどして、適切な治療に修正します。

原発性の診断は、
①椎体または大腿骨近位部骨折歴
老人におこるものは胸椎と腰椎の移行部(胸腰移行部)あたりの椎体に生じ、ほとんどが骨粗鬆症に起因して尻もちなどの軽微な外力により生じるものです。

②他の部位の脆弱性骨折歴を有し、密度が若年成人平均値(YAM)の80%未満。
③脆弱性骨折歴がなく、骨密度がYAMの70%以下またはT値-2.5SD以下。
のいずれかを満たすことで下される。 出典:「原発性骨粗鬆症の診断基準」(2012年度改訂版)

続発性では「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版」が策定されている。

http://jsbmr.umin.jp/pdf/gioguideline.pdf

糖尿病などの生活習慣病では骨質劣化による骨脆弱性の亢進が存在するため、骨折リスクの評価を積極的に行うことが推奨されている。

【骨粗しょう症の治療薬】2017年5月プロドラッグ調べ

●作用によって次の3種類に分けられます。

(1)腸管からのカルシウムの吸収を促進し、体内のカルシウム量を増やす薬
活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。

(2)骨の形成を促進する薬
活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。また、骨形成と骨吸収のバランスも調整します。

ビタミンK2製剤
骨密度を著しく増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。

テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
新しい骨をつくる骨芽細胞を活性化させ、骨強度を高める骨形成促進薬。
骨密度が非常に低いなど重症の患者さんに適した薬です。
現在、1日1回患者さんが自分で注射をする皮下注射剤と、週1回医療機関で皮下注射してもらうタイプとがあります。

(3)骨吸収を抑制する薬
女性ホルモン製剤(エストロゲン)
女性ホルモンの減少に起因した骨粗しょう症に有効です。
閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、併せて骨粗しょう症を治療する目的で用いられます。

ビスフォスフォネート製剤
骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。骨粗しょう症の治療薬の中で有効性が高い薬です。

ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えるのです。
骨吸収がゆるやかになると、骨形成が追いついて新しい骨がきちんと埋め込まれ、骨密度の高い骨が出来上がります。
ビスフォスフォネート製剤ではこれまで主流だった週1回服用に加え、4週1回製剤(錠剤・点滴投与)が開発されました。
さらには、高齢者では錠剤が飲みにくい問題に配慮した、経口ゼリー製剤も登場しています。

SERM(塩酸ラロキシフェン)
骨に対しては、エストロゲンと似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。

カルシトニン製剤
骨吸収を抑制する注射薬ですが、強い鎮痛作用も認められています。骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。

【具体的な処方例】

(A)既存骨折のない骨折リスクが軽度の例

処方例 下記のいずれかを用いる.

1)エビスタ錠(60mg) 1回1錠 1日1回・・・ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口服用。

2)ビビアント錠(20mg) 1回1錠 1日1回・・・バゼドキシフェンとして、1日1回20mgを経口服用。

3)エディロールカプセル(0.75μg) 1回1カプセル 1日1回 朝食後・・・エルデカルシトールとして1日1回0.75μgを経口服用。活性型ビタミンD3製剤です。

(B)既存骨折のある骨折リスクが高度の例

処方例 ①、②、③のいずれかと④を併用する.

①ボナロン錠(35mg)・経口ゼリー(35mg)またはフォサマック錠(35mg) 1回35mg 週1回 起床時・・・ビスホスホネート系の骨粗鬆症治療薬です。

②ベネット錠(17.5mg)またはアクトネル錠(17.5mg) 1回1錠 週1回 起床時,もしくは

ベネット錠(75mg)またはアクトネル錠(75mg) 1回1錠 月1回 起床時・・・ビスホスホネート系の骨粗鬆症治療薬です。

③リカルボン錠(50mg)またはボノテオ錠(50mg) 1回1錠 4週に1回 起床時・・・ビスホスホネート系の骨粗鬆症治療薬です。

④アルファロールカプセルまたはワンアルファ錠 1回0.5−1.0μg 1日1回 朝食後・・・活性型ビタミンD3製剤です。

【骨粗しょう症の方の食事】

●骨密度を意識した食事療法を実施

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨密度を増加させる栄養素を積極的に摂り、骨を丈夫にするのが骨粗しょう症の食事療法です。
カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率がよくなります。
とくに骨吸収を抑制するビスフォスフォネートやSERM製剤では、食事によってカルシウムとビタミンDを摂ることにより、骨形成が促されますので、食事療法は骨密度増加の鍵となります。
また、タンパク質の摂取量が少ないと骨密度の低下を助長しますので、食事量が少なくなりがちな高齢者の方は注意しましょう。

●カルシウムを多く含む食品

牛乳、乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など
骨粗しょう症や骨折予防のためのカルシウムの摂取推奨量は、1日700~800㎎です。

●ビタミンDを多く含む食品

サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイ、シイタケ、キクラゲなど

●ビタミンKを多く含む食品

納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど

【骨粗しょう症の特集記事 関連リンク】

骨粗しょう症と漢方

以下、参照

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骨粗しょう症は男性にもあるのか?もちろんある。。

女性だけに骨粗しょう症が生じるわけではない。骨粗しょう症患者の男女比は約1:3であり、つまり発症している人の4人に1人は男性である。統計的に、現在わが国で骨粗しょう症を発症しているとされるのは約1,280万人。単純計算すると、そのうち約300万人が男性と考えられる。なかなか統計数字だけではピンとは来ないが、「発症している人の4人に1人は男性」というのを知らない男性があまりにも多い。

骨密度も重要であるが、同時に骨質も問う(骨粗しょう症の話 その2)

近年になり、骨粗しょう症の定義は「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」と改訂された。具体的に言えば「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明される。つまり骨粗しょう症という疾病は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が互いに影響しあって骨折リスクが高まる病気と言えます。

骨粗しょう症は日常生活の合間に常に意識をされて予防すべき。(骨粗しょう症の話 その3)

骨量を測定したら、医師が驚くほど低値であるケースも多いそうです。つまり、このようなアクシデントの背景には9割以上、「骨粗しょう症」が介在していると言われています。「骨粗しょう症」の4人に1人は男性です。

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