エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症)と漢方療法について

   

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エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症)と漢方療法について

近年、災害時になるとメールお問合せが多くなる「エコノミー症候群の漢方は?」とのことですので、記述いたしました。

【エコノミー症候群について】

エコノミー症候群、つまり正式には「エコノミークラス症候群」。

下肢や上腕その他の静脈(大腿静脈など)に血栓が生じ、静脈での狭窄・閉塞・炎症が生ずる疾患をさします。
この血栓の全部または一部が破片となり、「飛ぶ(医療現場用語?)」ことがあります。

つまり血流に乗って下大静脈から心臓を通過し、肺へ辿りつき、肺動脈が詰まることがあります。これを肺塞栓症と言います。

肺塞栓症を生じると、その先の肺胞には血液が流れず、ガス交換が不可能となります。

このため換気血流不均衡が生じ動脈血中の酸素分圧が急激に低下、呼吸困難をきたし最悪の場合は死亡します。

肺血流シンチグラム、造影CTなど各検査にて「肺塞栓症」を認めた時点から、症例に応じ、緊急に抗凝固療法、血栓溶解療法などを実施します。
既に重篤な場合には、血管内治療法(IVR)やオペ術(手術で血栓を除去)を即実施するケースも有ります。

「エコノミークラス症候群」・・命名由来は座席の狭いエコノミークラス席で発病する確率が高いと思われているために名付けられたのでしょう。
聞き様によってはファーストクラスではなく、エコノミークラスの特別な疾病のように聞こえますが、違います。

私のようにエコを旨として生活しているものにとっては気になる疾患名でしたが、最近では学会筋において疾病名「ロングフライト血栓症」に移行しつつあるようです。
各国際線の集まる空港では、毎年「ロングフライト血栓症」の事例が多く、航空会社を相手にした訴訟例も海外では増えてきたと聞きます。

基本的には、年齢、性別関係なく、いつくかの発症要因が偶然合えば、いつ誰がどこで発症してもおかしくない身近な疾病と考えて良いでしょう。(一説には40~50代の女性が多いというデーターもある
ただ、今までのケースとしてどうしても話題になるのは、災害時における高齢者の車中泊から発症する例が多いのも事実ですね。

むしろ富裕層、セレブやビジネスクラスの方々(日本人サッカー選手の発症が話題)にも充分に言えるように、長時間の座位から由来する急速な血行障害、血栓塞栓症を言います。
正式には「静脈血栓塞栓症」といい、肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症をあわせた疾病概念となっています。

個々の年齢、血液粘度、凝固系因子の疾病有無、脱水の有無、下肢静脈瘤の有無、現状の疾患(糖尿病、脂質代謝異常、高血圧など)の有無により個人差はありますが、ほぼ固定された座位継続、概ね6時間を経過したあたりが一つの目安かと。
長距離・長時間の自動車運転や搭乗(職業運転手、列車、長距離バス、飛行機等)、デスクワーク、長時間フライトや、災害時における長期間、狭い空間での車中泊などで発症しやすい。

また、体の姿勢は「座位でなければ良い」ということはなく、例えば加療による長期・長時間の臥床状態でもなり得ると言えます。

医療機関に入院中には看護スタッフらによる定時的又は臨機応変的な体位変換等を実施するため、ほとんど発症には至りません。
しかしながら、近年の家庭介護や一人住まいのご老人の増加により、家庭内で発症する事例は急速に増加の傾向にあると言えましょう。

【災害時におけるエコノミークラス症候群への対策】

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■まずは誰でもとりかかりやすい、いわゆる「インフライト体操」から。

■日本における各航空会社ではさすがに「エコノミークラス症候群」への認識は高く、各ホームページ、機内パンフによる啓蒙、機内スタッフからの配慮などは高評価されているようです。
私の記憶している限り、エコノミークラス症候群に関し、日本の航空会社への裁判は聞いてません。(日本国内の飛行時間も短いです。しかし、今後は特に国際線はわかりません・・)

例えば、JALが発行しているパンフ又はリーフレットにおいて、「快適な空の旅のために」があります。
その中に、旅行中に起こる可能性のある旅行者血栓症(深部静脈血栓症)の項目があり、

「機内で行える旅行者血栓症の予防対策」(着席中でも足の運動を積極的にしましょう。)

簡単な運動ですが、座ったままでできる簡単な体操をご紹介していますね。
さらに、リフレッシュ方法を動画で紹介もしています。
インフライト体操はこちら

●特に足首とふくらはぎの運動、マッサージを取り入れたインフライト体操は、自動車の車中でも応用ができると思います。
●医師からのアドバイスとし、やはり「足首周辺と、ふくらはぎストレッチによる血行改善」が最大のポイントです。
●椅子に座ったままの体操を繰り返すことは、「エコノミークラス症候群」から回避する一つの方法論と言えましょう。
●医療用サポーターの提案もあるようです。例えば、膝下の弾性ストッキング(圧迫力の強い医療用ストッキング)を着用も、推奨されています。
但し、災害時にいざ避難という時に、すぐに入手できるか?疑問はありますが、有る程度の年配者は、日頃からご家庭で有事への備えていれば憂いなしとも言えます。

■発症リスクが高値の方

平素でも血栓のできやすい体質というものが存在する限り、災害時の避難所生活や車中泊のみを血栓症の発症要因に限局するのは極論という医師の意見も有る。
体質的になんらかの疾病を有し、かつ災害による避難によるストレスや窮屈な生活を継続した場合に発症リスクが高まるということでしょう。

【発症リスクが高まる事例】

・日常から運動不足の方(特に高齢者)
・何らかの生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質代謝異常症等)を有する方
・下肢静脈瘤を有する方又は下肢の手術をされている方
・骨折等の下肢の怪我の治療中の方(特に要注意)
・過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞等を起こした事がある方
・肥満度が高値の方(BMIは平均22)
・妊娠中または出産直後の女性(特に要注意)
・透析患者さん
・悪性腫瘍(がん)の患者さん 等

■水分補給について

●こまめな水分補給が必要です。これは日常からの心がけとして、重要事項です。
●避難所生活や車中泊の時には、トイレに支障をきたし、どうしても水分摂取を避ける傾向があります。脱水状態のまま、長時間、窮屈な座位で過ごすことは、「エコノミークラス症候群」を発症させる大きな要因ともいえます。
●災害時にアルコールを飲まれる方はいないとは思いますが、あえて言いますと、アルコールを摂取すると体が脱水症状になるので控えるようにしましょう。
●車中泊など長時間同じ体勢でいなければならないときはコーヒーや炭酸飲料を→イオン飲料やスポーツドリンクなどに置き換えましょう。
●ビタミン系については、抗酸化作用のあるビタミンCの摂取が筆頭となります。ビタミンCは血管を強化し、血栓を防ぐ働きがあるので、こまめに摂ることで血栓症の予防に期待できます。

■漢方療法について

さて、一番最後になりましたが、漢方療法です。

●まずは水分保持に必要な漢方薬(医療用漢方製剤には有りません)

著名な処方で「生脈散(しょうみゃくさん)」があります。
脱水状態は「エコノミークラス症候群」を発症させる要因の一つです。
こまめな水分補給は当然のことですが、特に気温上昇時には、体内水分を保持するためにも当処方は第一選択となります。

●お血(おけつ)、うっ血を改善する漢方

お血とは東洋医学では「血の滞り」と言われ、血行障害の元凶ともなります。
一般の漢方処方では「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が有名です。血巡りを改善し、水毒をも緩和いたします。

●血栓をできにくくさせる漢方薬(医療用漢方製剤には有りません)

ずばり血栓症の予防、血流促進、血管強化として優秀な漢方製剤で「丹参(たんじん)」という生薬を主成分とした丹参製剤(たんじんせいざい)が存在します。

丹参(たんじん)は活血化瘀薬(理血薬)と言われ、血流を促進し、瘀血(おけつ)を改善する生薬です。(活血去瘀・涼血)

中国漢方で「冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)」という丹参製剤が有名ですが、現在我が国においても、この処方を原典として 開発された丹参製剤に人気があります。(構成生薬を一部変更しています。)これらの製剤は大手の漢方メーカーが販売しており、近隣の漢方薬局ではほとんど取り扱っています。

●精神・神経用剤としての漢方薬

災害時のストレス、恐怖、不安など避難先においても「心の病」についても考えねばなりません。
特にパニック障害、不安障害、PTSD、うつ等が大災害の後から多く発症いたします。
また、エコノミークラス症候群の発症要因の一つに、突然のご不幸によるショックや心身疲労等、何らかの影響も当然ながら有ると言われています。
人体に穏やかに効果のある漢方薬をおすすめします。

一般のよく用いられる漢方処方として、

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・温胆湯(うんたんとう)
・苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)
などが、挙げられます。個々の証に応じて使用をいたします。

以上、ご紹介いたしました漢方処方は全国の漢方専門店(漢方薬局・薬店)で取り扱っています。

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【ご注文方法】ご注文は、小太郎漢方匙倶楽部の商品のため、メーカー意向により、当店の薬剤師又は登録販売者への直接のお電話注文となります。 カートに載せての販売はしておりません。ご希望のお客様はお電話をお待ちしております。「薬のプロたん」0428-25-8682(東京都・青梅市)

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参考サイト
お薬と言ってもセルフケアを目的とした市販の漢方薬です。ばあばは虚弱なもので、あまり強い薬は飲めません。そこで漢方なのですが、漢方の中でも特にマイルドな、かつ自身の体にフィットする方剤を専門家である薬剤師さんにお願いをしています。
【プロたんサイト構築について】(会社設立)「保険調剤(処方せん応需の保険指定)」と「漢方薬のご相談」。この業界では「二つの要素」は決して両立は無理との指摘のあった保険薬局の運営。これら「大きなテーマ」に挑戦すべく「プロたん薬局(プロドラッグ
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